テレビのドラマを見ていると、エンドクレジットに「美術協力」と表示されることがあります。素敵なアーティストさんが協力してるんだなー、なんて思っていたんですが、なんと、この仙台にそんな素敵なアーティストさんが、いたんです!!!
それは2019年夏。突然のメール。
「テレビドラマに絵画作品をお貸しすることになったんです。
やはり破損や、条件をはっきりさせておきたいと思うので、借用書になるんでしょうか、契約書の作成をしたいのです」
既知の画家さんでしたが、こんなご依頼があるとは驚きでした。
さて、その前に物品貸与契約書のお話を少し。
物品を貸す場合の契約書
物品を貸す場合の契約書は、「物品貸出書」または「物品貸与契約書」になります。この時は先方が「借用書」と言ってらっしゃるとのことで、借用書という名称でお作りして、先方から頂戴したという形にいたしました。
物品貸出書に記載すること
- 誰が誰に貸すのか
- いつからいつまで貸すのか
- どの物品を貸すのか
- 何のために貸すのか
- 対価はどうなるのか
- 送料などの実費はどちらが負担するのか
- 貸与中の扱いの注意事項はあるのか
- 過失の事故の場合どうするのか
- 故意の事故の場合どうするのか
- 運送会社のミスがあった場合どうするのか
- その他、決めてないけど困ったことが起きた時どうするのか
物品を対価をいただいて貸すと決めたら、貸す人はそれを相手の手元に渡す義務が、借りる人はそれを決められた方法で扱って対価を払うという義務が発生します。なので誰が貸して誰が借りるのか、責任の所在を明らかにしないとなりません。
何を貸すのか、も、きちんと間違いなく返してもらうためには大事なことです。何のために貸すのか、これがはっきりすることで、貸与中の物品の扱いが決まってきます。
対価を決めた時に、例えば送料はどちらが負担するのか、借りるほうが負担しそうな気もしますが、お互いが「相手が負担する」と思い込んでいたらトラブルの元。
貸与期間も、近隣の方にお貸しするなら気にならない場合であっても、遠方の場合は起算日はお互いの発送日なのか、到着の日なのか、ことに日割りで貸与料が発生する場合など気になるものです。
また、遠方だとどうしても運送業者が間に入りますが、その場合に物品に合った運送業者を選択してほしいなど、ある人には常識でもその物品について詳しくない人には思いつかないこともあります。
そしてそういうことがあってはいけませんが、損害賠償の取り決めもしないままでは不安だと思います。その他、想定外のことが起きた時にはどうするのか、これも一文入れておくかおかないかで双方の安心感が違うものです。
物品貸与契約書の取り交わし方
通常の契約書と同様、二通用意し、双方がそれぞれに署名捺印(記名押印でも構いません。あとで偽造などのトラブルが想定されるような場合は署名捺印が安心です)して一通ずつ保管します。
それぞれの契約書が同じものであることを証明するために割印を押します。
また、契約書が複数枚にわたる時には、つなぎ目のところに契印を押します。契印は署名捺印に使用したものを使用してください。
物品の貸与やレンタルの契約書は印紙は必要ありません。
フリーランスの安心のために契約書作成を
お仕事の相手が法人だったり、遠方の方だったりした場合、意思の疎通や、自分の意向がわかってもらえるかどうか心配なもの。逆に相手も、こちらがどういう心算なのかわからないままだと思い違いが発生してしまい、どちらも悪くないのに思わぬトラブルが発生してしまうこともあるものです。
そんな後味の悪い思いにならないよう、契約書の作成をお勧めしています。
契約書の条項をリストアップしながら、契約の抜けがないかの確認もできますので、フリーの方のお仕事がスムーズに進むために大事なものかもしれません。
白川美紀さんと七人の刑事と美術協力
さて。その仙台の画家さんとは白川美紀さん。テンペラ画という本格的技法で制作を続けている美紀さんは昨年、テレビ朝日系ドラマ「七人の刑事」に桜の描かれた畳1枚分もある大作で美術協力したのです。その作品にインスパイアされて、ドラマの監督さんは脚本にないシーンを作られたとか。このドラマ私も見ましたが、演出に凝っていて、「作品を見た」気分になりました。このドラマは東山紀之さん主演。たくさんの方に美紀さんの作品の凄さが伝わっていたら嬉しいです。
白川美紀さんのサイト→白川美紀 Miki Shirakawa
美術協力についてのブログ記事→ドラマ美術協力|テレビ朝日「刑事7人」第5シリーズ